
確実に実践するための動機づけを与える
部下の意見を聞くことと、意思決定を部下に丸投げすることは異なります。リスクを避けるあまり、自分で決定を下さず、部下任せにする上司は信頼されません。もちろん部下に発言を求め、アイディアを集めることは重要です。しかし、最後はマネジャーが、自分の責任で決定を下し確実に実践展開に結び付けられるように、動機づけを与えなければなりません。「どの市場を重視するのか」「どんな売り方をするのか」「会社の方針の中でより優先すべきなのはどれか」「こじれたクレームにどのように対応するのか」等、様々な分野で営業マネジャーは的確な判断を行い、決定を下さなければならないのです。部下に気に入られよう、部下を嫌な思いにさせたくないと考えるあまり、正しい判断が下せない上司もいます。部下の感情だけに目を向けると間違った判断基準に基づいて決定を下しかねません。あなたは上司として何に基づいて「決定」を下しますか?
決めない上司の下で何が起こるのか?
上司が決定を先送りにすると、現場では何が起こるでしょうか?部下はどちらに進めばよいかわからないまま、自分なりの判断で動き始めます。売り方や優先順位は部下によってばらばらになり、チームとしての力がまとまりません。うまくいかなかったときには、誰の判断だったのかも曖昧になります。
上司が決めてくれないと、部下は相談する意味を見いだしにくくなります。反対に、自分の意見と違っても、理由をもって決めてくれる上司には、部下はついていこうとするものです。
決めないことも、一つの決定です。上司が判断を保留している間にも、市場や顧客の状況は動いています。こじれたクレームのように、時間が経つほど対応が難しくなる問題では、決定の遅れがそのまま損失につながります。
何を基準に決めるのか?
的確な決定を下すためには、何に基づいて判断するのかをあらかじめ持っておく必要があります。たとえば、次の三つを基準にする方法があります。①会社の方針・・・自分のチームの判断が、会社全体の方向と合っているかを確かめます。②顧客にとっての価値・・・目先の数字だけでなく、顧客との関係が長く続くかどうかを考えます。③チームの成果・・・一人の部下の都合ではなく、チーム全体として成果が上がるかどうかで判断します。
部下の感情に配慮することは必要です。しかし、それを判断の基準にしてしまえば、決定はぶれます。基準がはっきりしていれば、部下に嫌な顔をされる決定であっても、自信をもって伝えることができるのです。
情報がすべて揃うまで待っていては、いつまでも決められません。ある程度の材料が集まった段階で、自分の責任で決める覚悟を持つべきです。部下に気に入られようとして決定を曖昧にすれば、かえって部下の信頼を失うことになります。
決定を実践につなげる
決定は下して終わりではありません。部下が確実に実践するところまで見届けて、初めて意味を持ちます。そのためには、決めた内容だけでなく、なぜそう決めたのかを伝える必要があります。
意見を出してくれた部下には、その意見をどう検討したのかも説明します。採用されなかった意見でも、きちんと検討されたとわかれば、部下は次も発言しようと思えるのです。
そのうえで、誰が、いつまでに、何をするのかを具体的にします。実践の途中で状況が変われば、決定を見直すこともあるでしょう。その場合も、理由を示したうえで上司が改めて決めるのです。





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