営業組織の変革を阻む、根深い要因は過去の成功体験です。急成長を遂げた企業や、ヒット商品を販売した営業チームは、「今までのやり方」に固執する傾向があります。多くの営業担当者が「今のままで良いとは思っていない」と答えるにもかかわらず変革が進まないのはなぜでしょうか?
原因は危機意識の欠如です。今までの営業手法が通用しなくなったとしても、顧客や売上げがゼロになるわけではありません。弊害は少しづつ、気がつかないうちに表れます。
頭では理解していても、ホンネでは「自分は今まで成果を出してきた」「このままで何がいけないんだ!」と言い訳を考えてしまうものです。躊躇(ちゅうちょ)することなく、すぐに行動するためには「強い動機付け」が必要なのです。危機意識と緊急感がなければ行動する動機は得られません。
例えば経費削減が重要だとわかっていても、実際、本気で行動するのは、景気が悪くなってからです。同じように営業変革が必要だと考えていても、行動するのは「どうしようもなくなってから」という企業が多いのも事実です。今は営業変革の好機です。営業担当者は厳しい外部環境を反映して、否応なく危機意識を抱いています。
大きな組織変革や、役割変更など好調な時期には反発が起こる大変革も実現可能です。多忙な時期には難しい、計画的な人材育成や、インフラ整備などのためにある程度の時間を確保することができるのです。
危機意識を作り出すことは至難の業ですが、現状を利用して変革を推し進めることは可能です。今の取組みが3年後の成果に大きく影響し、業界の勢力図を塗り替える可能性があるのです!
危機意識は数字の小さな変化から生まれる
危機意識を持てと言われても、売上げが大きく落ちていなければ実感は湧きません。弊害は少しずつ、気がつかないうちに表れるからです。では、どうすればよいのでしょうか?
小さな変化を目に見える形にすることです。新規顧客の獲得件数、既存顧客の受注単価、提案から受注までにかかる期間、失注の理由。こうした数字を数年分並べてみると、売上げの合計は横ばいでも、特定の顧客への依存が強まっていたり、新規開拓がほとんど進んでいなかったりすることがわかります。
事実を示されれば、「このままで何がいけないんだ!」という声にも、冷静に向き合えるようになります。数字は、誰が見ても同じものを示します。感情ではなく、根拠をもって向き合うことができるのです。
危機感をあおるだけでは人は動かない
ただし、「このままではまずい」と繰り返すだけでは逆効果です。営業担当者は不安を感じても、何をすればよいのかがわかりません。行き先の見えない危機感は、萎縮や諦めを生むだけです。
危機意識を行動に変えるためには、目指す姿と最初の一歩をあわせて示す必要があります。今、何が問題なのか?3年後にどんな営業組織になっていたいのか?そのために今月は何から手をつけるのか?ここまで具体的に語られてはじめて、危機感は前に進むエネルギーになります。
示された道筋に沿って動き、小さくても結果が出れば、営業担当者は「変わればよくなる」と実感できます。危機意識が「やらされ感」から自分たちの動機に変わるのは、このときです。
厳しい時期に確保できた時間の使い方も問われます。訪問件数を増やすことだけに使うのはもったいない話です。営業プロセスの見直し、顧客情報の整理、若手の育成計画づくりなど、忙しい時期には手をつけられなかったことにこそ取り組むべきです。小さな成果が一つずつ共有されるようになれば、「今までのやり方」への固執も少しずつほどけていくでしょう。





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