カーナープロダクトマンスリーコラム

営業論考(3)―研修の量と質にこだわる

108284847□営業研修の目的

何事も「目的」と「手段」を間違えると十分な成果が得られません。営業研修は手段です。研修と言う機会を通じて、気づきを与え、成長させ、成果を得ることが重要です。しかし、研修を実施する事が目的になってしまう危険性があります。配属されたばかりの新人営業担当者の育成、中堅営業マンのスキルアップ、営業管理向けの研修など試行錯誤で企画しスケジュールを立て、テーマを考えます。研修企画の段階でなぜその研修を実施するのかを考慮せずに運営されることが意外に多いのです。こうした研修は目的と手段が逆転しまっているために成果に結びつきません。

 

では、そもそも営業研修とはどんな目的のために実施されるものなのでしょうか?最終的にはその企業の利益に結び付けるためです。しかし、研修の目的やゴールを明確に定めるにあたって、現状を分析し営業部門の課題を抽出する事が重要です。「結果を出すためにどう考え行動すべきか」ということを突き詰めたものでなければ効果は半減してしまうのです。

 

例えば、価格競争に巻き込まれ、利益率が下がって来たのであれば、安易にネゴシエーション研修を実施するのではなく、価格競争に巻き込まれている原因を抽出すべきです。競合分析の不足であれば、客観的な競合分析とポジショニングが必要です。提案不足でメリットが伝わっていないのであれば、比較手法を活用した提案スキルの強化が求められます。「価格競争に巻き込まれている」という同じ現象でも、原因によって、解決策と打開策は異なるのです。自部門の課題をとことん突き詰めるような営業研修を実施しなければなりません。

 

更に営業研修を企画する場合には、そうした問題点や課題を先回りして見出し、「課題になり得ること」「壁にぶつかるであろうこと」を効果的に解決できるよう営業マンを育て上げることも重要です。営業は生き物です。お客様によってさまざまな対応や提案が必要になります。その活動に対する提案や手法と共に、ありとあらゆるお客様への対応、対処の手法を明確に教え込む必要があります。

 

□営業研修は量と質どちらを重視すべきか

では、営業研修はどの程度実施することで効果が得られるものなのでしょうか。まず営業研修は、実施回数ではなく実践に繋なげるためにどの程度実施すべきかを考慮して頻度を決定すべきです。毎年4回研修を行なう場合でも、半年に1回だけの研修であっても、効果や成果を求めるならば連続性のある研修を企画する必要があるでしょう。

 

「研修を実施しても具体的な成果に結びつかない」という意見を持つ企業に調査したところ、65%の企業が単発的な研修を実施しているという結果が出ました(当社調べ n=300社)。毎回違う内容、違うテーマで年に何度も研修を行ない、研修を実施する度に先回学んだことがトコロテン式に押し出され過去の物になってしまうよりも、年に1つのテーマを掲げ、それを突き詰める研修を連続して実施する方が圧倒的に効果を導き出すことができるはずです。

 

研修はただ回数を重ねたからといって、営業マンが育つというものではありません。その研修がいかにトレンドを掴んでおり、具体的な手法や考え方など、量より質にこだわっていかなければならないのです。それだけではなく、企業として定めたゴール(戦略)に近づけるために「何をすべきなのか、どう考えるべきなのか」を明確にして、気付きと活動へのヒントを与える機会としたいものです。

 

ここでいう研修の質とは、「実践に繋がる度合」のことを示しています。つまり、「スキルの習得ではなく、実践でいかに使えるか」ということが重要なポイントです。そのため、浅い研修を年4回実施するよりも、連続性のある研修を年に1回にした方が効率的と言えます。「質にこだわらない」「実践に繋がらない」営業研修は無意味なものと感じないためにも、より効果的で実践に沿ったテーマのもと研修を実施しましょう。

 

□研修を確実に実践に結び付ける3つの秘訣

営業研修の質を高め、確実に実践に結びつけるためにはどのような取り組みが求められるのでしょうか。

ポイントは3つです。

 

①研修を企画する段階で実践につながるテーマを選ぶ

教育担当者は、企画の段階で、いま現場で起こっている事、課題となっていることをリサーチし、企業戦略を確実に実行していくために何が必要で何が欠けているのか?ということを明確に見極めてテーマを選び抜いていかなければいけません。

このテーマが実践とかけ離れてしまうと、成果はおろか、通常の営業活動に取り入れてもらえない、時間を無駄にした研修になってしまいます。

 

②研修後の実践可能なアクションプランの作成

営業活動を実施する場合に、ただ漠然と活動させることはありません。各々計画性を持って活動していくはずです。そのスケジューリングと研修で学んだ事、またターゲットとして顧客を選定しているのであればその攻め方、攻める時期などを、個人のスケジュールとリンクさせ、明確なアクションプランを立てることが必要です。もちろんこのアクションプランに関しても定期的にチェックし見直され、具体的且つ実践可能なものでなければなりません。教育担当者や営業部上長はこのアクションプランがどう扱われているか、計画的な行動が行われているかを定期的にチェックする必要があるのです。

 

③継続的なフォローアップ

確実に実践に結びつけるための秘訣として、継続的なフォローアップも大変重要です。これはアクションプランのチェックとも関係がありますが、実践活動を行っていく中で市場の動向や営業担当者自身の問題点が浮き彫りになります。それを打破し、より成果に繋がる営業活動を行っていくためには、常に変化する状況を取り入れたフォローアップ研修が重要なのです。

 

営業研修はただ回数を重ねていれば良いわけではありません。意識、意欲を定期的に奮い立たせるだけならば数をこなすことで、その都度効果はあるでしょう。しかしより実践的で成果に直結した営業強化を図るならば、具体的なテーマを創出し、自社の戦略などに沿った考えとゴールを見据えたアクションプランを明確にしなければなりません。活動の進捗や日々変化する課題を見据えつつ継続的なフォローアップを含めたトレーニングこそが営業研修の質を高めるのです。

 

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