300社調査!ダメ営業の理由、14倍売る人の理由|カーナープロダクト|営業戦略・営業力強化コンサルティング・営業人材育成・営業研修

  • tell 03-3262-4420
  • メールでのお問い合わせ



HOME > 調査研究 > 300社調査!ダメ営業の理由、14倍売る人の理由

300社調査!ダメ営業の理由、14倍売る人の理由

営業成績の格差 3年前は8倍、今は14倍

300社調査!ダメ営業の理由、14倍売る人の理由

「売れる」営業マンと「売れない」営業マンの二極化が進んでいる。弊社が300社を対象に調査をしたところ、3年前は、営業成績の格差は額面にして平均8倍であったが、昨年の調査では約14倍まで広がっている。今や一生懸命やれば売れる時代ではない。営業マンには商品知識だけでなく顧客の問題を把握し提案するコンサルティングのスキルが求められる。ここに営業マンの力の差が生まれているのだ。そのためかもしれない。最近、コンサルティングをしていると「売れない営業マンを辞めさせるべきか?」という質問をよく受けるようになった。結論から言うと答えはNOである。辞めさせても何の解決にもならない。一人辞めさせると周りも「俺も売れなくなったら辞めさせられる」と考えるようになり、組織全体のモチベーションが下がってしまう。

「まったく売れない営業マン」「たまに売るが低空飛行の営業マン」「売れなくなってきた営業マン」……。企業にとっては売れない営業マンがいない状態が望ましい。だが現実には大勢いる。今回はこういう人たちに対してどういう対処をとるべきなのか科学的に分析して述べていきたい。
だがその前に人事権のある経営者や人事担当者には、採用の段階で「売れない」営業マンを見極めるべきだと言っておきたい。営業職は過去の経歴とスキル、そして意欲で採用の有無を決めることが多く、実際に売れるかは採ってみなければわからないのが現実だ。

しかし中途採用に限って言えば、入社後「売れる」営業マンになる可能性がある人物とそうではない人物を見極める方法がある。それは「過去をリセット」できているかどうかだ。中途採用で転職しようとしている営業マンの大半は前職で失敗している。転職の理由を尋ねると「前の会社はノルマがきつくて別の会社の営業職ならなんとかなるかと思って」と語る人も実際多い。つまり過去の経験はあまりあてにならないのである。業界出身者を採用したからといって売れるとも限らない。

また、面接で自分の自慢ばかりするような営業マンはまず伸びない。なぜなら前の会社のやり方や過去の成功体験に固執している場合が多いからだ。前職のコネに頼って顧客の幅を広げられなかったり、転職先の会社にも今まで成功してきた営業スタイルがあるのに、それに対していきなり異議を唱えたりする。このような営業マンを採用するくらいならば、営業未経験者を採用したほうがいい。未経験者は新規の顧客を一生懸命に開拓しようとするので、商談をまとめる見込み客も増えていき、結果的に安定する。
だからこそ転職してその会社のやり方を一から学んで、やり直そうと思っている人材を選ぶことが重要なのだ。

さて現在、抱えているダメ営業マンをどうすべきなのかに話を戻す。
まずは「売れない」営業マンに自社で営業を続ける意思があるのかを確認する必要がある。なかには明らかに営業職に向いていないと自分でもわかっていて仕事自体が嫌でたまらないという人もいる。こういう営業マンはそもそも営業マンとして成長しようという意欲は薄い。別の部署に異動させるなどの措置を考えるべきだ。

辞めたほうがお互いハッピーな場合もあるだろう。会社の考え方や営業スタイルが合わないという営業マンもいる。いまだに数字重視でノルマ達成のために気合で営業している会社もある。あまりに高圧的なマネジメントに耐えられず病気になるくらいなら体のためにも辞めたほうがいい。そもそもそのような場合、本人は自然に辞めていくものだ。

営業の仕事や社風が合わない場合に限らず、正常な会社では売れない人がついていけなくなって自分から辞めていく。反対に売れる人から辞めていく会社は異常な状態だ。できる人だけ採用して、できない人を切り捨てる会社では、「この会社は人を育てられない」と見限って、できる人から辞めていくのである。続ける意思のある営業マンには、上司が把握している問題点を客観的に指摘し、改善する意思が本人にあるのかを確認し「改善します」と答えるようなら、できるだけ会社で育てるべきだ。

部下を指導するポイントはメンタル、スキル、活動

例えば顧客から評判の悪い営業マンがいたとする。出入り禁止のクレームを受けたとしても上司は顧客からの一方的な話だけで「おまえは駄目だ」と決めつけてはいけない。実は顧客から評判が悪い営業マンの中にも優秀な営業マンがいる。なぜなら概して顧客から評判がいい営業マンほど「言いなり」だからだ。「呼べばすぐ来る」「強く言えば値引きに応じる」など、顧客は自分に都合がいいほど「いい営業マン」だと思うものだ。だが会社からするとそれは「いい営業マン」とは呼べない。逆に「対応が悪い」「(忙しくて)電話してもいつも繋がらない」「値引きしろと言ってもまけない」など、顧客から見ると不満だらけの営業マンのほうが利益の出る仕事の仕方をしている場合もあるのだ。

クレームになる理由は営業マンの話し方など些細な部分にあることが多い。顧客からの一方的な評判だけで頭ごなしに怒るのではなく、しっかり部下の話を聞いてどこに問題があるのかを見極めてから指導したい。「顧客からの評価=営業マンの評価」ではないのだ。
では、部下の課題をどのように見つければいいのか。営業マンが「売れない」要因には、メンタル、スキル、活動の三つがある。一つの場合もあるし複合的なものが原因となっている場合もある。

まずはメンタル面だが、やる気がない営業マンは何らかの不満を抱えている。不満は「会社」「商品」「ポジション」「仕事内容」「上司」、この五つのいずれかだ。五つのうちどれに該当するのかさえ把握すれば解決はできる。

例えば個人的に上司と折り合いが合わない場合なら、じっくり話し合うなり別の上司の下に付けるなどできるはずだ。ポジションに不満がある場合には、その営業マンの評価について上司と本人の認識を明らかにし、誤解があるなら解消していくとよい。マネジャーがコミュニケーションを通じて部下の不満を払拭していくことである。

しかしなかには特に不満はないが、モチベーションを上げる要因がないために低空飛行を続ける営業マンもいる。営業マンのモチベーションには、「獲得」「成長」「評価」「征服」「責任」という五つの要素がある。自己成長がモチベーションの源泉という人もいれば、難しい顧客を攻略して契約を獲得することに熱意を覚える人もいる。どこでやる気を感じるかは人それぞれだ。

しかし、やる気がないと言われている世代は新卒~30代前半までの比較的若年層であり、彼らのモチベーションは「評価」にあると考えていい。顧客と上司、双方の評価だ。追い込んで叱咤激励すれば売れると勘違いしているマネジャーも多いが、褒めて伸ばすことを忘れてはならない。

次はスキルである。この部分については「現場で覚えろ」の企業が多い。その理由は売れるためのスキルが何かということを会社も上司自身も整理できていないからだ。とりあえず営業に行かせ、一応案件らしいものが出てきたら、そこで初めて上司が同行し提案や契約の仕方などを教える会社がほとんどだ。だが一番大変なのは案件を取るまでの過程だ。会社としても身につけてほしいのはそのスキルのはずである。しかしその重要な部分ほどほったらかしであり、教えていない。

上司は営業活動の量と質をきちんと見ているか

スキルの中でも、営業にはまず知識が必要だ。現在のような成熟市場の中では、サービスを導入したりモノを買うとき、これまでになかったものを買うのではなく、例えば「コピー機Aをコピー機Bに替える」など商品の切り替えが主流となっている。これまで使っていたものをやめてまで買いたいと思わせるだけの商品知識、業界知識、そして顧客知識に基づいた商談ができなければならない。

弊社にも多くの営業マンが来るが、「うちの会社、何をやっている会社か知っていますか?」と尋ねると20人中一人しか答えられなかった。法人営業なのに何も調べずに闇雲に飛び込み営業をかけているのである。自分の売る商品と営業先のことをしっかり勉強して初めて商談は成立する。顧客の情報など調べればわかることだ。営業に行って「御社は何をつくっているのですか?」という営業マンと「先日の新聞記事を見ました。新しい投資の予定があるのですか?」と聞く営業マンでは会話の広がりが全く違う。

あとはヒアリング力と提案力である。売れない営業マンは商品のニーズや需要を一方的に聞くだけで、顧客を知る努力をしない。例えば商品がコピー機なら「コピー機は何台ありますか? 故障が多い替え時の機械はありますか?」という質問はする。だが顧客がどんな仕事をしており、コピーの使用頻度がどれくらいで、コピー機に何を求めているのかということは聞かない。このため「今、コピー機は必要ない」と言われるとおしまいなのだ。顧客を知る質問をしなければ提案はできない。提案とはその顧客にとってのメリットを提示することであり、単なる商品の説明ではないのだ。

最後は「活動」である。営業活動は量と質に分けられる。効率的な営業を推進するあまり営業マン一人当たりの活動が減っている会社もある。効率的という言葉を「少なく動く」の意と勘違いしてはいけない。量というのは「顧客と接点を持っている」時間と件数である。例えば移動に2時間かけて顧客とは五分しか話していないなら「実際営業時間」は五分でしかない。この時間をいかに広げ、件数を増やしていくかが重要なのだ。質は新規顧客を獲得するためにいかに「種まき」をしているかである。営業の内容を見ると「刈り取り(契約)」ばかりに気を取られている営業マンが非常に多い。前は売れていたのに売れなくなってきた営業マンは、刈り取りに必死で、その間の種まきを怠ったつけが回ってきているのだ。

そうならないために本来なら上司が目を光らせて、新規顧客を開拓し顧客との関係を強化する営業活動をどれくらい行っているかを見ておくべきなのだ。 売れない営業マンに対してはこれら三つの要因のうちどれが該当するのか上司が判断して、課題を一緒に解決していく。そもそもマネジャーに人事権はない。辞めさせるべきかを考えるのではなく、与えられた人材でいかにパフォーマンスを上げるかを考えることが重要である。

新卒の場合は営業マンとして「一人前」の定義をつくってあげること。商品知識をどこまで覚えたら一人前なのか、どういう提案ができるようになれば一人前なのか、ヒアリングはどこまで聞ければ一人前なのか。「一人前」のレベルを明確にして、そこに到達するための育成をすべきである。

私は冒頭、「売れない部下を辞めさせるべきか?」という質問をよく受けると述べた。だがその上司に「その部下は日頃どういう活動をしているのか」と聞いて答えられるマネジャーは多くない。「種まきに時間をどれくらい使っているのか」「将来的に実を結びそうな顧客をどれくらい持っているのか」と尋ねても全く答えられない。

つまり結果しか見ていないのである。ただ営業成績が悪いというだけで「あいつは駄目だ」というレッテルを張っている。営業は三カ月前や半年前のアクション、業界によっては1年前のアクションが実を結び今月の受注になるということもある。しかし結果が出るまで何も知らない上司があまりにも多すぎる。上司が部下である営業マンのアクションを把握していれば、売れなくなる前に改善させることができる。辞めさせるのではなく「育てる」というスタンスで上司が部下を見ることが何より重要なのである。

 

 

| 調査研究TOPへ |


▲ PAGETOP